「箱の中」書評・感想集


 谷本束氏の書評 
注:この書評にはあらすじが書かれています。

 注:読んだ時のお楽しみを裏切る内容なので、掲載を見合わせます。

2000年5月 堀川成美

(フリーライター 「週間朝日」1999年3月5日号 掲載)

 

 飯塚さんの感想 

 物語は生徒から受け取ったコピーの束から始まる。他人の書いた交換日記。そんなものを読んだ所で退屈凌ぎにもならないじゃないか。主人公の非常勤高校講師、海辺真理子も始めはそう思った。しかし美術準備室に隠されていた交換日記、それを淡々とした文章の中で読み進めていくうちに、日記の書き手の女が実はとんでもないヤツなんじゃないかと気づき始めた頃には、物語はどんどん加速して思いもかけない方向に進んで行く。

 何が嘘で何が本当なのか。最初はほんの気まぐれだったのか、それとも始めからしかけられた罠だったのか。二重三重に重なり合う言葉の応酬に隠された紛れもない事実。真夏の太陽が落とすくっきりとした影のように、黒々とした深い穴のような感情があったことを思い出させる。

 イケナイと知っているから、その感情に囚われてしまうのだ。情熱を注いでしまうのだ。

 いつしか激しく展開する物語世界に知らず知らずに引き込まれてしまいます。面白い。ぜひ御一読を。

(37歳・女性、1999年8月13日)

 

 羽柴さんの感想 

 「箱の中」、手にするやいなや早速拝読しました。
 第1章は既に予備知識としてあったので、第2章よりはじめましたが、一気にあっというまに読み終えてしまったというか、読み応えがありま したね。私なんて小説の評をするに値しない者なので、印象に残ったところなどほんの少しカキコさせていただきます。(ですから、こちらに カキコさせていただきました。よろしいかしら……叱られそう(汗))

 一番、頭に残ったのは「暑い」という単語というか文章でした。これは私だけがもつ感想なのかどうかわかりませんが、ちょうど催眠術師が 催眠状態から現実へ引き戻す時に使う呪文というかキーみたいなもののようにかんじられました。この「暑い」によって小説の世界にひきずり 込まれ、「暑い」によって現実の世界に呼び戻されたというか。妙に心に残りましたね。それから、主人公の「海辺」という名前。この苗字は 確かに目立ちますね。なんともいえない味わいがあります。潮の香りが漂ってくるような(笑)。
 内容について云々すると、まだ読まれていない方々に申し訳ないのでひかえさせていただきますが、とにかく面白かったです。余談でたいへ ん申し訳ないですが、私の場合、「面白い」とは「傑作」と同義語です。

(「訪問帖・わたしたちのひとりごと」2000年1月31日の書き込みより転載)

 

 ちゅう子さんの感想 

 (前略)
 ゆっくりかけないのが残念ですが、感想を。
 一言で言うと、一気に読んでしまいましたが、かなり体力消耗しました。なぜ?どうして?と思いながら、力んでしまいました。
 男性のことは今はよくわかります。女性のあの怪しさは、たしかに誰もがもつものかもしれません(って言い切っていいかな、私)。
 とても20代の女性の書かれたものとは・・・というのが始めの思いでした。それだけ、天才的な感受性を持っておられるのですね。それともわたしがそれだけおばさんってことかしら・・・。
 それにしてもすごいね。とりあえず、ひとことでした。

(「堀川成美の世界・掲示板『私は、語る。』」2000年7月10日の書き込みより転載)

 

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