堀川成美の世界少女マンガ名作選

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’80s少女まんがコラム
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2000.02.06〜2001.12.21 全40号

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号:配信日時
/時間 部数

40 : 2001-12-21
/ 23:30:00 283
39 : 2001-12-06
/ 00:30:00 285
38 : 2001-11-06
/ 20:00:00 283
37 : 2001-10-06
/ 00:30:00 281
36 : 2001-09-06
/ 03:30:00 279
35 : 2001-08-06
/ 03:35:00 280
34 : 2001-07-21
/ 02:20:00 273
33 : 2001-07-06
/ 00:30:00 273
32 : 2001-06-21
/ 01:00:00 270
31 : 2001-06-06
/ 01:00:00 267
30 : 2001-05-06
/ 00:00:00 262
29 : 2001-04-06
/ 01:30:00 215
28 : 2001-03-21
/ 00:30:00 218
27 : 2001-03-06
/ 01:00:00 211
26 : 2001-02-21
/ 00:30:00 214
25 : 2001-02-06
/ 00:30:00 213
24 : 2001-01-21
/ 05:00:00 209
23 : 2001-01-06
/ 00:00:00 208
22 : 2000-12-21
/ 01:00:00 210
21 : 2000-12-06
/ 00:30:00 214
20 : 2000-11-21
/ 00:00:00 213
19 : 2000-11-06
/ 00:00:00 210
18 : 2000-10-21
/ 00:00:00 204
17 : 2000-10-06
/ 00:00:00 185
16 : 2000-09-21
/ 01:01:01 174
15 : 2000-09-06
/ 00:18:33 156
14 : 2000-08-21
/ 00:00:00 150
13 : 2000-08-06
/ 00:00:00 144
12 : 2000-07-21
/ 00:00:00 137
11 : 2000-07-06
/ 00:31:52 131
10 : 2000-06-21
/ 00:00:00 123
9 : 2000-06-06
/ 00:16:19 122
8 : 2000-05-20
/ 23:30:00 108
7 : 2000-05-05
/ 21:00:00 94
6 : 2000-04-21
/ 09:08:41 -
5 : 2000-04-06
/ 13:13:03 -
4 : 2000-03-21
/ 07:17:58 -
3 : 2000-03-06
/ 04:03:05 -
2 : 2000-02-21
/ 01:23:48 -
1 : 2000-02-06
/06:07:30 -

Vol.3

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              狂気の罠に堕ちる

――校内に隠された「日記」によって暴かれる過去、そして、人間の真実――
 
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          ’80s 少女まんがコラム

               Vol3. (2000.3.6発行)
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 こんにちは。「’80少女まんがコラム」第三回目の配信です。
 第三回目の配信分は、イレギュラーで、一昨年連載が終了した羅川真里茂の「 ニューヨーク・ニューヨーク」を取り上げてみました。
 担当は、私、堀川成美です。

■ 作品 : ニューヨーク・ニューヨーク
     (1995−1998)
■ 作者 : 羅川真里茂
■ コミックス 
  「Jets Comicks」(白泉社・全4巻)

■ 登場人物:
ケイン・ウオーカー、メル・フレデリクス、ダニエル・ハワード(ケイン同僚)、ブラ イアン・バーグ(ケイン上司)、ゴーシュ・ストーンマン(ケイン同僚)、ジョシュア・ ブロンソン(メルの元恋人で、モデル)、JB(メルの働くカフェの店主)、エイダ・ ウオーカー(ケイン母)、ジョージ・ウオーカー(ケイン父)、ルナ・ピッツバーグ、 ジョーイ・クライン、エリカ・ウオーカーその他

■ あらすじ:
ニューヨークの警官であるケイン・ウオーカーは、オフの時間は同僚にも誰にも秘密で、 マンハッタン、クリストファー・ストリート――ゲイの溜まり場へと出かけて行く。彼 はそこで一夜の相手を求めるのだが、その夜は運命的な出会いをした。金髪碧眼の美青 年、メル・フレデリクス。やがて二人は恋に落ち、真剣に愛し合うようになる。ところ がメルには以前恋人がいて、過去を知るにつけてケインは嫉妬を抱き、メルに冷たくあ たる。
 しかし強い想いを自覚したケインはメルとの同棲を決意し、家を借りて住むようになっ た。ところが、ケインは職場や家族の誰にも自分がゲイであることをあかしたことはな かったのだ。
 ある日、カフェで働くメルは、お遣いでコーヒー会社に出かけて行く。そこで、彼は 麻薬を回収する犯人に襲われる。殺された人もいる中で危うく命は助かったのだが、犯 人の顔を見てしまっていたのだ。(以上「エピソード?」)

 メルが犯人に殺されかけたのを機に、ケインは両親にメルを合わせる決意を、つまり、 自分がゲイであることも打ち明ける決意をする。
 マサーチュ―セッツ州の両親の元へ行くまでに、メルが元恋人ジョッシュに再会する ことにより、ケインはメルの過去を知ることになる。そうこうするうちに二人は両親の 元へと十日間でかけたが、母の葛藤は激しいものがあり、なかなか受け入れてもらえな かった。母とのすれ違い、また、母自信の葛藤を経て、二人は、そして両親との理解を 深めて行くことになる。(以上「エピソード?」)

 (「エピソード?」〜)さて、両親にも理解された二人は、結婚式を上げることにした。  結婚式もあげ、両親やゲイの仲間にも祝福された彼らは、幸福の絶頂だった。ところ が、結婚式を上げた翌日、ケインと電話で話したのを最後に、メルは行方をくらまして しまう。
 失踪の最中、仕事も放りだして探しまわるケインだったが、ある日上司からメルと特 徴の良く似た遺体の左手首が川からみつかったことを知らされる。その手首は無残に虐 待された後があり、ケインがメルに結婚式の日交換した指輪がはめられていたのだ。

■ コメント:
 吉田秋生「カリフォルニア物語」、成田美名子「CHIPHA」、そして、羅川真 里茂「ニューヨーク・ニューヨーク」。どれもニューヨークが舞台になっているのに、 それぞれに時代のズレが明確に現れていて、日本のマンガだけでもこれだけ正確にかき わけられるのだと妙に関心してしまった。吉田の「カリフォルニア…」は、ニューヨー クはまだまだ荒れていた。成田「サイファ」では街は改善へと向かいつつあり、そして、 羅川の「ニューヨーク・ニューヨーク」では、もちろん日本の治安とはまだまだ比べ物 にならない部分はあるものの、間違いなく1990年代後半のニューヨークだった。
 ニューヨークの変化を報道番組で見ては、もう少し、この街の繁栄が続いて、どうか、 少しでも長く更正の日々を、平和を、と祈らずにはいられなかった。少なくともこの物 語のストーリーからも、あのかつての独特の、街が醸し出す悲惨さは消えていた。その 分、純粋に「人間」が描き出されるチャンスでもあったろう、羅川は二人のゲイの姿を 描きつつ、純粋にその愛を極めて描くことを許されたのだから、この「時代」が作り出 した「ニューヨーク」という何よりのセッティングに感謝すべきなのだ。

 でも現代のアメリカを映し出しながら、さらに現代のアメリカの抱く「病巣」、例え ば、家族の葛藤や、虐待の問題、そこから生じる凶悪犯罪などもきちんと踏まえている あたり、この人の「用意されたネタ(注:ここでは題材・材料の意)」から話を立ち上 げる周到さ――普通現実にせよ、虚構にせよ、元とする状況やネタを踏まえれば人物描 写まで描き込むのは難しく、山のような矛盾を生じさせてしまうことは珍しくないが、 こなして最後まで読ませてしまうあたり、評価に値する、と言っては、――偉そうだろ うか?(笑)
 「羊たちの沈黙」から影響を受けたそうだが、私の印象では、本当に影響を受けたば かり、他の資料にもきちんと目を通しているし、なぞりという印象はない。(逆にいえ ば書くものとして、これらのものに目を通していなければ嘘だ。)そして、資料は資料 であり、羅川自身は、自分の作品の中で、必要とするオチ(クライマックス)や、テー マをしっかりと決めた上で、周到にそのストーリー構成に合うエピソードを抽出して作 り出している。だからこそ、読者はクライマックスでおとされる。なぞりでは、容易に おとされない。それは恋と同じ、どっかできいたような…では駄目、ハートのこもった 言葉や態度でないと、そう簡単に、相手はおちないのだ。羅川の「ニューヨーク・ニュ ーヨーク」からは、作者自身も作品を書くときに向き合ったひたむきな姿勢や情熱が感 じられる。そして我々は、確実におとされる。作品を読みながら、ケインや、メルや、 ケインの母親、ルナ、そして、ジョーイの、苦悩や苦痛や葛藤に解け込んで、最後に口 説き落とされてしまう。
 「感動」はそんなふうにして生まれるのだ。 

 自分がゲイでありながら、ゲイであることを世間に公表できず、またそのために恋人 メルを傷つけてしまう、ケインの葛藤、苦痛、苦悩、後悔には必ず作者の感情が移入さ れている。
 作者は女性である。しかし、この物語は、ゲイの肉欲や愛情をただ書くことに終始せ ず、というよりも、男女を問わず燃え上がる恋の条件に必須である「障害」を、「ゲイ」 という位置関係が上手く「作用」として可能にしている。そうして、ゲイであることに 苦しむケイン、あまりにも不幸な境遇の中で生きてきたのに、限りなく無垢であるメル の二人の関係は、原罪を抱く人と救いを与える天使の鋳型のような感さえある。しかし、 二人はあくまでも人間であるし、人間であるからこそ苦しみ、乗り越えた時の喜びも、 ひとしおなのだ。
 だから、この物語は、ゲイ・ストーリーであるけれども、その型にとらわれず、人間 ドラマとして、とらえて読んでほしいと思う。ゲイ・ストーリーに多少抵抗のある方は、 入り口のところを少し我慢してほしい。しばらくすると、あまり抵抗なく読めるように なる。

 ところで私は羅川真里茂をデビュー当時しか知らない。今回読んでびっくりしたのは その上達ぶりだった。絵もさながら、以前は、「あ、次感動の見せ場なんだ」というの が、描き方でわかって、少し興ざめし、乗りきれないところがあった。結局は書いてい る羅川が感情移入しすぎて、興ざめだったわけだが、その悪い癖が(かなり)消え、あ くまで書く段階では冷静に自分を抑えて、「みせる」ということが出来るようになって いたのに驚いた。
 それから、これは羅川ではなく、セックス描写を商業誌でこれだけ平気で扱える時代 になったのか、ということに、一瞬驚いたが、よく考えてみれば、80年代の「花とゆ め」も、男女、男男問わず、平気でいろんなことを描かせてのけていたので、表現の仕 方は変わったものの、やはり「花とゆめ」を改めて実感したことであった。(←?)

 エピソード?、同じように親に暴力と虐待を受けていたジョーイと、メル。同じだけ 不幸な境遇なのに、この二人に大きな差を生み出した。
 「愛している」と言う、たったそれだけの言葉が引き金になっている、二人の分岐点。  天使と悪魔を作り出したこの言葉、鍵となり、一番重く心に残った。

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編集後記
 ’80s少女マンガコラムのはずなのに、とっても新しい作品が紛れ込んできました。  本来は、「大人になってもマンガ好き」という、大人になっても良い作品には目を向 けよう、ちゃんと価値判断していこうよ、という主旨の元に運営されているページのメ ルマガですので、これは是非、みんなに読んでほしいよ、というものがあれば、70年 代でも、90年代でも、こだわることなく紹介していきたいと思っています。
 今回の「ニューヨーク・ニューヨーク」は、ちょうど一年前、オブザーバーのみやみ やさんが掲示板で紹介してくれた作品です。みなさんも、「これいいよ、読んでみて」 といいのがありましたら、是非、掲示板、あるいはリストでご紹介ください。前回のさ がみさんが紹介してくれたように、管理者もまだ読んでない作品を読んで楽しみたい、 と思っています。みなさんのご投稿心よりお待ち申し上げております。
 羅川真里茂という漫画家がデビューしてきた時、まず「なんだ、この辺な名前は」と 思ったのですが、今でもやはり思います(失礼)。でも私はデビュー当時しか知らない ので、今回読んで本当にうまくなったな、と思いました。デビューした時から既に完成 された人もいますが、羅川なんかはまさに「発掘された」タイプの作家なんでしょうね。  こういうゲイを扱った作品では、大人の男の人の中には、男女のそれでは少女たちに 抵抗があるから、男同士を扱ったというコメントをする人がいますが、男性向けのアダ ルトものの反対で、男の子が感じたり、求めたりするのが快感だからではないかと、私 は思うんですがねえ…。だって男性のアダルトものも女ばかりが感じてるって感じじゃ ないですか? だから、ゲイの攻撃側が男の外見だとすると、相手になる方が中身って 感じで。
 おっちゃんらが思うより、少女マンガを読む少女たち(特にやおいものの同人誌やって る人)ってずっと早熟でやらしいんじゃないでしょうか。(私の知ってる人を見る限り。) あんまり少女にロマンや理想を重ねない方がいいと思う。(中にはおっちゃんらの言う とおりの人もいるかもしれないけれど。)
 タレントやグループを扱ったやおいものなんて必ず好きな人の方を下にもってきて感 じさせてますしね。

 ということで、次回また。

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ホームページからのお知らせ

■ 今月末で一年間続いた「特集・竹宮恵子」は終了します。「イズァローン伝説」は 今月中にアップしまする予定にしていますが、今日になっても「私を月までつれてって」 は手に入りません。終了後に入るかもしれませんので、よろしくお願いします。
 次回の特集は吉野朔実さんを予定しています。一年は長すぎたので、次回は半年で切 ろうかとも考えています。
 またご意見等おきかせください。
■ この作品のあなたの意見や、コメントへの感想は「大人になってもマンガ好 き」掲示板に御寄せください。
 大人になってもマンガ好きURL : 
         http://village.infoweb.ne.jp/~kairou/manga.html  掲示板URL : http://village.infoweb.ne.jp/~kairou/treebbs.cgi
■ 「大人になってもマンガ好き」では、現在3月末まで特集として竹宮恵子さ んをとりあげています。そちらの方も遊びにきてくださいね。
        http://village.infoweb.ne.jp/~kairou/takemiya.html
■ 作品リストの執筆者は随時募集しています。80年代を中心とする、あなた が推薦するマンガ(良い作品なら80年代、少女まんがを問いません)を御寄せ ください。
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発行元:インターネットホームページ「空中回廊」
        http://village.infoweb.ne.jp/~kairou/
発行&責任編集者:堀川成美
Vol.3執筆担当者:堀川成美
発行日:2000年3月6日
Copyright(C) 2000- All rights reserved.
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